M5 スタックちゃん(M5STACK-K151 / M5Stack CoreS3)の開発記録と作業用ツール。
セットアップで実際に踏んだ問題、その原因の突き止め方、再現できる手順を残しています。
解説記事: 日本語 (Qiita) / English (DEV.to)
応援歌を歌っているところ
kyoda-cheer-song.mp4
(17 秒・音あり。ファイル本体は docs/media/kyoda-cheer-song.mp4、音なしの GIF もあります)
「京田陽太さんの応援歌を歌いますね」と言ってから、ゲームの譜面から起こした旋律で歌います(歌詞は公式のもの、掛け声は歌いません)。
歌えるのは 16 曲ですが、人が聴いて確かめたのはこの京田だけです。ほかの曲は合成した音を機械で測った(声の割合・渡した楽譜とのずれ・最長の無音)だけで、耳では確かめていません。この数値は「合成器が楽譜どおり鳴らしたか」であって、応援歌として良いかではありません。残りは今後聴いて直すかもしれませんし、直さないかもしれません。
時期についての注記: 本体を入手したのは 2026-07-24(スイッチサイエンス)、最初のセットアップは 2026-07-25 です。この時点の出荷時ファームウェアは 1.2.4(2026-04-20 公開)、公式最新は 1.4.4(2026-07-13 公開)でした。本製品は 2026-05 発売の新製品で、ファームウェアもアプリも更新が続いています。入手時期によって出荷時のファーム版数は変わるため、下記の症状に当たるかどうかも時期によって変わります。
| 会話 | 声で聞いて、声で返します。本体の接続先を自前サーバーへ向けているので、中国のクラウドは経由しません |
| 認識 | sherpa-onnx + ReazonSpeech k2 v2(Raspberry Pi 5 上のローカル処理)。声とみなす敷居は 2 本で、話し始めたあとは下げます(1 本だと語の中の谷を無音と数えて語の頭だけで切ってしまい、「あ」「あれ」しか認識されません) |
| 応答 | さくらのAI Engine gpt-oss-120b(月 3,000 リクエストまで無償) |
| 読み上げ | Open JTalk(ローカル)。長い呼気段落は分けて合成し、読みが遅ければ実測して分け直します。本体の小さいスピーカーで歌と同じ大きさに聞こえるよう、鳴らない低音を落としてから音量を合わせます |
| 応答の速さ | 返答は書き終わるのを待たず、1 文できた時点で読み上げ始めます。聞き取りに渡すのも「いま終わった発話 1 回ぶん」だけ |
| 道具 | サーバー側 19 個(天気・週間天気・為替・株価指数・暗号資産・ニュース・地震・警報・台風・熱中症・電車・今日は何の日・月齢・燃油サーチャージ・渡航情報・プロ野球の速報と順位・出場選手の登録抹消・選手応援歌の歌詞・応援歌を旋律つきで歌う)+ 本体側 11 個(画面・サーボ・カメラなど) |
| 歌える曲 | 16 曲(譜面から 12・音源から 4)。ゲームの応援歌エディタの譜面をピアノロール動画から読み取って旋律にしています。読み取りが正しいかは別の動画をもう一度読み取って一致するかで確かめます。歌詞は公式のものを実行時に取得し、掛け声(「オオオオー」や「かっとばせー!」)は歌いません。助詞の「は」「へ」は歌うとき「わ」「え」に読み替えます(どこが助詞かは形態素解析に訊きます) |
| 呼びかけ | 本体のファームは、「Hi, StackChan」と聞こえるまで音声をサーバーへ送りません(CONFIG_SR_WN_WN9_HISTACKCHAN_TTS3)。画面の顔をタップしても会話が始まります |
| 割り込み | 読み上げの途中で話しかけると、残りをやめて聞き直します |
どう作ったか、何を測って決めたかは docs/progress.md に日付順で残しています。
索引は docs/README.md にあります。
| ページ | 内容 |
|---|---|
| 初期設定とペアリング不能問題 | アプリで No devices found が出て設定が終わらない問題。シリアルログでの切り分けから、原因(出荷時ファームが古い)と解決までの全記録。踏んだ罠の一覧つき |
| 公式ファームウェアを USB で書き込む | M5Burner(GUI)を使わず、公開 API と esptool 単体実行ファイルで公式バイナリを書き込む手順。ロールバック方法も記載 |
| 音声バックエンド差し替えの検討 | 出荷時は中国のクラウド XiaoZhi 経由。自前サーバーへ寄せる設計と、無償枠・自前ビルド・プロビジョニングの前提整理。差し替えポイントと現在の進捗 |
| XiaoZhi WebSocket プロトコル | 自前サーバーを書くために必要な仕様のまとめ。OTA 応答スキーマ、hello の交換、音声フレームの形式、JSON メッセージの一覧 |
| 自前サーバーの実装 | 本体の接続先をこのサーバーへ向けるための実装一式。OTA と WebSocket、ローカル音声認識、VOICEVOX での読み上げ、MCP のツール呼び出し。実機なしで検証するための試験クライアントとモックつき |
初期設定でアプリが No devices found を返す場合、Bluetooth の権限ではなく出荷時ファームウェアが古いことが原因の可能性があります。シリアルログを見ると BLE 接続とハンドシェイクは成功していて、アプリ側が応答の検証段階で止まっていました。
さらに 新ファームは OTA → OTA には Wi-Fi → Wi-Fi 設定にはアプリのペアリング という循環になっており、USB 書き込み以外に出口がありません。詳細は 初期設定とペアリング不能問題 を参照してください。
会話の頭脳に さくらのAI Engine の gpt-oss-120b を使っています。使う前に迷いやすい点を、実際に API を叩いて確かめた結果として残します(2026-08-09 時点)。
「OpenAI・Anthropic 互換」の Anthropic 互換は、API の形式が互換という意味です。Claude が使えるわけではありません。
POST /v1/messages(Anthropic 形式)は実際に動きます。返る形も Anthropic のもので、contentブロック・stop_reason・usage.input_tokensが揃っています。ただし応答するのはgpt-oss-120bです- Claude を指定すると拒否されます。
claude-sonnet-4-20250514もclaude-3-5-sonnet-20241022も{"error":{"message":"This model is not available."}}でした GET /v1/modelsで配布モデルを一覧すると 12 個すべてowned_by: "sakura"の公開ウェイトモデル(gpt-oss-120b/llm-jp-3.1-8x13b-instruct4/Kimi-K2.6/Qwen3.6-35B-A3B/gemma-4-31B-it/Phi-4-mini/whisper-large-v3-turbo/multilingual-e5-largeほか)で、Anthropic のモデルは含まれません
つまり OpenAI 互換と Anthropic 互換のどちらを選んでも、動くモデルは同じです。違うのはリクエストとレスポンスの形だけなので、既存コードが喋る方言に合わせて選べば十分です。このサーバーは Ollama から移してきた経緯があり、POST /v1/chat/completions のまま接続先とモデル名の 2 行だけ書き換えて動きました。
無償枠まわり(公式ページの記載): 基盤モデル無償プランと従量課金プランは別のプランで、自動的に従量課金プランへ移行することはありません。無償枠を超えた場合は課金ではなくレート制御がかかります。利用量はAPI では取れないので、このサーバーは自分で数えて get_llm_quota という道具にしています(数え漏れがあることも一緒に答えさせています)。
| ツール | 用途 |
|---|---|
| tools/flash-official-firmware.ps1 | 公式ファームの一覧取得・ダウンロード・検証・書き込みを自動化。既定はドライラン(取得と通信確認のみ)で、-Flash を付けたときだけ書き込む |
| 本体 | M5StackChan AI デスクトップロボット(ESP32-S3 搭載) / M5STACK-K151(2026-07-24 入手) |
| コントローラ | M5Stack CoreS3(ESP32-S3、16MB Flash、8MB PSRAM) |
| サーボ | FEETECH SCS0009 シリアルバスサーボ ×2(UART、GPIO6/7) |
| バッテリー | 550mAh(ベース側) |
| 母艦 | Windows 11。USB 接続すると USB-Serial/JTAG(VID_303A / PID_1001)としてシリアルポートに現れる |
| 出荷時ファーム | XiaoZhi ベース(プロジェクト名 stack-chan) |
- Arduino / PlatformIO での自作スケッチ
- MCP ツールを増やして手元の他システムと連携させる
- 音源から旋律を採る曲のうち 1 曲だけ、歌の長さが他の 2 倍になっている(切り出しの見直し)
- 公式ドキュメント: https://docs.m5stack.com/ja/StackChan
- Arduino での開発: https://docs.m5stack.com/ja/arduino/stackchan/program
- UIFlow2 での開発: https://docs.m5stack.com/ja/uiflow2/stackchan/program
- ファームウェア・アプリ・サーバーのソース: https://github.com/m5stack/StackChan
- 顔の描画ライブラリ: https://github.com/meganetaaan/m5stack-avatar
MIT
